マロンカフェ 〜のんびり読書〜

主にミステリ、エンタメ小説を読む私の読んだ本の感想(書評もどき?)や読書日記、本の情報など
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たかはしみき まいにちトースト

評価:
たかはし みき
技術評論社
¥ 1,029
(2004-11)

トーストのいろいろな食べ方を、かわいいイラストとともにオールカラーで紹介。掲載しているレシピは80種類以上なので、毎日トーストをバターかジャムで食べているあなたも、きっとお気に入りの食べ方に出会えます。(出版社・著者からの内容紹介) 

我が家の朝食は5時半スタートです。毎日トーストですが、別に飽きているわけではないんだけど、いつもジャムかバターを塗ったりベーコンエッグをのせたりとワンパターンになってしまっています。そんな時に出会ったのがこの本。知人も愛用しているとのことで、早速読んで(見て)みました。 

たかはしみきさんって、こげぱんの作者の方だったんですね〜色々なトーストの食べ方を提案したレシピ本です。作者自身もかなりのパン好きらしくパンへの愛情が感じられ、パンのイラストが本当に美味しそう! 

どんなトーストレシピの種類があるのか大まかに紹介しますと、 
モーニングトースト・・・バター・マーガリン系、のり系、たまご系、チーズ+α 
ランチトースト・・・マヨネーズ+α、フレンチトーストのバリエーション 
おやつトースト・・・フルーツ系、おかし系(プリンやアイスクリームをのせたもの) 
ディナートースト・・・おつまみ系、野菜系、お惣菜系 
そして、番外編として、いろいろな国のトーストが紹介されていたり、ちょっとしたコラムもあります。 

このレシピ本に載っているものの中には、ベーコンエッグや溶けるチーズなど既に作ったことのあるものもありましたが、ほとんどが未体験レシピ。でもちょっとした工夫で味のバリエーションを広げるものも多くて、ほ〜っ!と目からウロコなレシピも多かったです。バター+塩コショウとかシンプルなんだけど、ひと手間かけることで味の印象がかなり変わるらしく、トーストというお手軽素材だけに敷居が低く色々試したくなってしまいます。 
ブルスケッタとか難しそうな名前でもレシピを見ると超簡単なので、料理が苦手な人やズボラさん向けとしても大活躍してくれそうなレシピ本です。 

読んでいる人は、登場するレシピがほとんど未体験のレシピであったり、奇抜な食材の組み合わせだし味の想像がつきにくいと思うんです。でも、その味や食感を誰でもが分かるような例えで簡潔に書かれてあって、なんとなく味の想像が出来るし、お手軽感もありちょっと作ってみるかという気にさせてくれます。実際、旦那がこの本を見ながら休日の朝にいくつか作っていましたしね。(笑) 
今は、1行レシピや100文字レシピのようなレシピ本が受けているようですが、本書も文字数は少なめで、そして可愛らしい絵と共に作り方・注意点・完成図・食べた感想が分かりやすく簡潔にまとめられていて、実はすごい本なんじゃないかと思いました。 

私がこれって本当に美味しいの〜?と思ったレシピ例を挙げますと、チーズ+バナナとか、のり佃煮+バター、納豆+チーズ、そして口から光が出るほど美味しかったというマヨネーズを塗ったキムチチーズトーストなどなど。今挙げたのは、えっ!?と思うような組み合わせですが、ほとんどはまともな組み合わせなのでご安心を。(笑)

きゅうりトーストメレンゲトースト


私が作ってみたのは、知人が絶品と言っていた きゅうりトーストとメレンゲトースト(写真)すぐ出来るし美味しかったですよ♪あと私が気になったのは、コンデンスミルクから作るキャラメルクリームやオレンジのフレンチトーストですね。ぜひとも作ってみたいです。 

トーストコラムからは、パンへのこだわりが感じられます。高いお金を出して有名パン店のパンを買うこだわりではなくて、あくまでも安く・簡単に手に入る・そして少しのこだわりの姿勢を貫いています。 
私はレシピ本やカフェ本が大好きでついつい買って集めてしまうのですが、本書も手元に置いておきたいくらい気に入りました。買っちゃおうかな〜(^^ゞ 

★★★★☆(9点)

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最近流行りの一行レシピ本がこちら
おつまみ一行レシピ―〓(きき)酒師がつくる (vela BOOKS) おつまみ一行レシピ―〓(きき)酒師がつくる (vela BOOKS)
(2008/08)
やまはた のりこ
1260円
商品詳細を見る
本 感想(た行) | comments(0) | trackbacks(0)

2010年2月購入本

先月末にバタバタと購入したので、2月の購入記録をアップしそびれていました。(^^;ゞ
2月に購入した本はこちら。

藤谷治『船に乗れ!3 合奏協奏曲』
岸本佐知子『ねにもつタイプ』
ジョージ・マクドナルド『リリス』
『SFが読みたい』
『Story Seller2』
『ヘンな間取り』
『おすすめ文庫王国 2009年度版』
『本の雑誌』3月号
の合計8冊。

船に乗れ! (3)ねにもつタイプ (ちくま文庫)リリス (ちくま文庫)SFが読みたい!〈2010年度版〉発表!ベストSF2009 国内篇・海外篇Story Seller〈2〉 (新潮文庫)ヘンな間取りおすすめ文庫王国2009年度版本の雑誌 321号

スペースとお財布の関係で、購入するのはほとんどが文庫本なのですが、『船に乗れ!3 合奏協奏曲』を購入しちゃいました♪図書館にリクエストしていたのですが、何ヶ月待っても入荷すらしなかったので(汗)
『リリス』は、励ましあって読書会の3月課題本。結構分厚いので怯んでいますが、パラパラ見た感じだと私の好みの匂いがぷんぷん(笑)あのルイス・キャロルに影響を与えた本らしいので、読むのが楽しみです♪

『Story Seller2』は、沢木耕太郎・伊坂幸太郎・有川浩・近藤史恵・佐藤友哉・本多孝好・米澤穂信と錚々たる顔ぶれのアンソロジー集です。前作『Story Seller』の感想はこちら

『SFが読みたい』と『おすすめ文庫王国 2009年度版』は、今後の本選びの参考に♪
『ヘンな間取り』は文字通りヘンな間取りばかりを集めた本。私って間取り図を見るのが大好きな人なんですよ(笑)なので今から読むのが楽しみです。o(〃・ω・〃)o"ワクワク
以前読んで面白かった間取りの本は、こちら。『間取りの手帖 remix』(感想
『ねにもつタイプ』は単行本の内容に加えて文庫では少し追加があるらしいので購入。

長いこと積まずに早くに読めたらいいなぁ〜(^^ゞ

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本 購入履歴 | comments(4) | trackbacks(0)

真保裕一 アマルフィ

評価:
真保 裕一
扶桑社
¥ 1,575
(2009-04-28)

ギリシャ神話の英雄ヘラクレスは、愛する妖精の死を悲しみ、世界で最も美しい地にその亡骸を埋めて街を作った。その街の名は―アマルフィ。まさしく我々が命を懸けるに相応しい作戦名だった。ローマで日本人少女が誘拐。真相を追い、外交官黒田がイタリアを駆ける。サスペンスの名手真保裕一が書き下ろす、エンターテイメント小説の新境地。(「BOOK」データベースより) 

わたしは、暗い所で明るい映像を見ると頭痛になってしまうせいもあり、あまり映画を見ません。でも夫はメジャーな映画大好きな人なので、久しぶりに映画を見に行こうと誘われ、この『アマルフィ』を見てきました。(去年の夏のことです。)私はあまり映画を見ない人なので目が肥えておらず、この映画の良し悪しは分かりませんが…面白かったんだけど、まぁ普通だったかなぁという印象です。確かにお金がかかってそうでしたし(笑)風景は綺麗でヨーロッパ文化に興味のある私は、イタリアの街並みとかも魅力的でしたし、サラ・ブライトマンの歌もとても素晴らしく感動したのですが、まぁ普通だったかなぁ?娯楽作品として楽しめました。 

原作はどうも評価が分かれているようなのですが、映画も見たことだし、実は真保作品は未読でしたので、いい機会と思って本書を手に取ってみました。映画を見るとしても普段は原作を読んでから映画を見る事がほとんどで、今回おそらく初めて先に映像作品を見てから原作を読んだと思います。なので、純粋に本のみの公平な評価を出すのが難しいです。そして、初真保作品でしたので他の真保作品と比較できないのですが、私は面白く読めたと感じています。 

後記にも書かれていましたが映画化の初期のプロットを元に作られた作品だそうで、読んでいても黒田=織田裕二、紗江子=天海祐希のキャストがピッタリで読書中も頭の中を動きまわっていました。良くも悪くも映画ありき、映像ありきの作品でしたね。誘拐事件の身代金の受け渡しのために、あちこち移動するのもイタリアで、しかも世界遺産にもなっているアマルフィをあちこち歩き回らせたら映像映えすると思うし、読んでいて頭の中に情景が蘇りました。この点では、先に映画を見ていて良かったのかもしれません。原作だけだとイメージがつかみにくいだろうし味気なかったかもしれない。また逆に少々違いはあるものの大筋は映画とほぼ同じなので、読んでいて答え合わせをしているような、ただなぞっているだけの読書のような気もしたけれど、緊張感もあるし詰め込みすぎなくらいあれこれ事が起こるので、飽きさせずに読ませる所とかは上手いなと思いました。 

映画と小説とではラストが随分と違うのですね。これはこれで楽しめました。意図した訳ではないのですが『ローマ人の物語』と『天使と悪魔』を続けて読んだので、最近ローマづいているな〜と思ってしまいました。(^^ゞ ただ少し盛り込みすぎな気はしたかな?ラストでの国際問題については、本当に軽く扱われているだけだったので心に迫ってくる感じはしませんでしたし…でも映画では分からなかったアマルフィでなければダメな理由・必要性が分かったのは良かったです。 
それにしても黒田はカッコいいですね〜異端児のエリートって感じかな?ふとエリート繋がりで『隠蔽捜査』の竜崎を思い出しましたが、私にはカタブツすぎて竜崎のかっこよさが全く分からなくって。(^^; 黒田は臨機応変、柔軟な思考の持ち主だったからカッコよく見えたのだろうな。なんだかんだと書きましたが、娯楽作品として面白く読めたと思っています。

★★★★(8点)

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本 感想(さ行) | comments(1) | trackbacks(1)

ダン・ブラウン 天使と悪魔 訳 越前敏弥

天使と悪魔 (上) (角川文庫)天使と悪魔 (中) (角川文庫)天使と悪魔 (下) (角川文庫)天使と悪魔 (角川文庫)
 (2006/06/08)
 ダン・ブラウン
 越前敏弥
 各620円
 商品詳細を見る

ハーヴァード大の図像学者ラングドンはスイスの科学研究所長から電話を受け、ある紋章についての説明を求められる。それは十七世紀にガリレオが創設した科学者たちの秘密結社“イルミナティ”の伝説の紋章だった。紋章は男の死体の胸に焼印として押されていたのだという。殺された男は、最近極秘のうちに大量反物質の生成に成功した科学者だった。反物質はすでに殺人者に盗まれ、密かにヴァチカンに持込まれていた―。(「BOOK」データベースより) 

実は、『ダ・ヴィンチ・コード』が流行っていた時に読もうとした事があったのですが、その時は読書熱が冷めている読書スランプ真っ只中で、何を読んでも面白いと思えなかった時で、『ダ・ヴィンチ・コード』は途中で読むのをやめてしまったという苦い経験があります。当時は翻訳物に読み慣れていなかったので、余計に読み進まなかったのかもしれません。本書はラングドンシリーズ1作目で『ダ・ヴィンチ・コード』よりも刊行が先だったのですね。シリーズ物は順番通りに読んだ方がいいかなと思い本書を手に取ってみました。 

無宗教の私ですが、クラシック音楽が好きなこともあってヨーロッパには非常に興味を持っている人で、自然とキリスト教にも興味が沸くといいますか、少しは知識があります。私は大学で化学を専攻していたりとどちらかというと科学の信奉者ではあります。でも神様がいないとも言い切れないし、いたらいいなという軽い感覚は持ち合わせています。本書は、ミステリ・アクション・サスペンス物ですが、宗教と科学が反目しあうことなく手を携え共存していけるかどうかについても描かれていると思いました。

一昨年『世界でもっとも美しい10の科学実験』を読んでいて、科学史の下知識があったのも良かったです。キリスト教や美術、歴史の薀蓄雑学が非常に興味深くて大変面白く読みました。イルミナティの古の啓示の道の目印となった4つの教会を探し出すために、彫刻・詩・天使などから謎を推理していくのがとても面白かったです。 

そして、スイスのセルンで作られヴァチカンに持ち込まれた反物質の爆発までのタイムリミットと4人の枢機卿たちが1時間ごとに殺害されるという予告を阻止できるか?という二重のタイムリミットでスピード感とスリルあふれるストーリー展開になっていて、また非常にリーダビリティが高くどんどん読み進んでしまい、ページをめくる手が止まりませんでした。悔しいけれど面白かったです。(笑) 

ラングドンのスーパーマンぶりや少々ご都合主義的な所も気になるのですが、あまり小難しい事は考えずにこのエンタメ作品を大いに楽しんだものが勝ちという気もしましたね。それにしても映像映えしそうな作品です。ローマの街並みや美術作品を堪能するためにも映画を見たくなってしまいました。去年から塩野七生さんの『ローマ人の物語』シリーズを読み始めたこともあり、ますますローマに興味が沸いてしまいました。 

終盤は、ミスリードあり、どんでん返しありで少し食傷気味になりましたが、私は見事に騙されてしまいました。でも、作中のあの感動的な演説の後だっただけに、どんでん返しの後の真相には面白さよりも哀しさの方が勝ってしまって少し複雑な気持ちになってしまったかなぁ。それにしても本書はたった数時間の出来事なんですよねぇ… 

私は犯人探しのミステリとしても楽しんだのですが、それよりも美術・歴史の薀蓄を読むことで知的好奇心を刺激された読書となりました。 
本書はいくらフィクションといえども、かなり事実も入り込んでいるようなので、ひっくり返るくらい驚いてしまう部分もあるんでしょうね〜日本人が読むのと欧米人が読むのとでは受ける衝撃度にかなり差があるんじゃないかと思いました。 
つい先日ラングドンシリーズの3作目『ロスト・シンボル』が発売されましたね。こちらも読んでみたいと思っています♪


ロスト・シンボル 上ロスト・シンボル 下 ロスト・シンボル
 (2010/03/03)
 ダン・ブラウン 越前敏弥
 各1890円
 商品詳細を見る

★★★★☆(9点)

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本 感想(海外) | comments(2) | trackbacks(1)

2010年 本屋大賞 予想!

本屋大賞ノミネート作10作を無事読み終えることができましたので、ここでメッタ斬りならぬ、いが栗メッタ割予想をしたいと思います。(笑)素人へっぽこ本読みの予想ですので、お祭りの一環として気楽にお楽しみくださいませ〜(^^;ゞ

まずは、私の好みでランク付けしていくと・・・

1.小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ
2.冲方丁『天地明察
3.藤谷治『船に乗れ!』全3巻
4.東野圭吾『新参者
5.吉田修一『横道世之介
6.川上未映子『ヘヴン
7.村上春樹『1Q84
8.有川浩『植物図鑑
9.三浦しをん『神去なあなあ日常
10.夏川草介『神様のカルテ
(タイトルをクリックすると感想記事に飛びます。)

となりました。(注:この順位は、私の好みのランキングなので、本屋大賞のランキング予想とは異なります。)では、予想していきましょう〜

猫を抱いて象と泳ぐ『トップバッターは『猫を抱いて象と泳ぐ』。これは私も大好きで去年読んだ本の年間ベスト1に選んだ本でもあります。(年間ベストの記事はこちら)すっごく好きな本なのですが、小川洋子さんは第一回本屋大賞『博士の愛した数式』で大賞を受賞されているんですよね。『博士〜』を上回るくらい素晴らしい物語だと思うし投票する人も結構いらっしゃると思うのですが…やはり一度受賞した人よりは他の人にと思う方が多いんじゃないかな?と思います。本屋大賞は同じ作家さんが何度も受賞してはいけないという決まりはなかったはずですが、やはり投票避ける人は出てくるんじゃないかなぁ。

新参者1Q84 BOOK 11Q84 BOOK 2次は2冊まとめて。『新参者』と『1Q84』です。私はどちらも好きな作品なんですけど、やっぱり放っておいても売れる本に大賞をあげたくないなという気持ちがあります。『新参者』はドラマ化もされますし、わざわざ大賞をあげなくてもドラマ化効果で更に売れていくでしょうし、『1Q84』はBOOK3が4月に発売されてまた売れそうですし。それに村上春樹は本屋大賞よりノーベル賞でしょう〜という気持ちもあります。(笑)でも、両方ともいい作品だと思うしハルキストの書店員さんなどファンも多いと思いますので、票は集めるとは思うんですけど大賞までには至らないかと。

横道世之介次は『横道世之介』。私はこの作品とても好きだったんですよ。でもね〜やっぱり読み手の世代によって受ける感動がかなり変わってくる作品だと思うんです。バブルを謳歌した世代にはドンピシャで昔を懐かしく思う胸にグッとくる作品だと思うんですよ。でも若い世代の読者にはイマイチピンとこないんじゃないかな?と思うんですよね。そして、言ってしまえばなんてことのないお話で、淡々としたお話でもあるので、ミステリのようなストーリーに起伏のあるどんどん色々な事が起こってぐいぐい読んでしまうような作品を好んで読む読者にとってはもしかしたら退屈と感じる人もいるかもしれません。そういう点でちょっと弱いかもなぁという気が致します。

植物図鑑次に『植物図鑑』。これも私は大好きだったのですが…2009年本屋大賞候補作の10作には惜しくも11位だったので入れなかったのですが、私はこの『植物図鑑』よりも『阪急電車』の方が遥かに素晴らしい出来だと思うんですよね。そして、この『植物図鑑』は少女漫画の王道のようなストーリーで女子にはクリティカルヒットすると思うのですが、男性読者にとってはどうなのかなぁ?特に年代が上の世代ほどあまりはまれないって人がいるんじゃないかな?って気がするのです。大賞を受賞する作品ってどの世代からも性別関係なく受け入れられる(票を集める)作品だと思うので、『横道世之介』と同じく特定の世代や性別から受け入れられにくいんじゃないか?と思われる作品はちょっと大賞受賞は難しいんじゃないかな?という気がします。

神去なあなあ日常次は『神去なあなあ日常』。これはねぇ、う〜ん。私としてはちょっとパンチが足りなかったかなという印象なんです。三浦しをんさんは好きな作家さんで、私の中では2007年本屋大賞の候補作になっていた『風が強く吹いている』がベストなんですよね。『神去なあなあ日常』も良かったんだけど、『風が強く〜』を超える作品だとは思えないし、これで大賞を受賞させちゃうのはちょっと…という気持ちがあるんです。しをんさんは、好きなんですけどもね〜(^^;ゞ

神様のカルテそれから『神様のカルテ』は、今回のノミネート作品の中で私が唯一合わなかったかなぁという作品でした。(汗)いや、きっとこういう作風が万人受けするんだろうな〜というのはよく分かるんですけどもね。(^^;ゞテレビCMもバンバン流れて20万部突破したそうですし。でもなぁ〜この後にあげる3作品と比べると胸にぐっとくる深みや感動という点で比べるとやっぱり浅いかなぁ〜と思っちゃうんですよね。(^^;ゞ

残ったのは、『天地明察』『船に乗れ!』『ヘヴン』の3作品。

本命が『船に乗れ!』全3巻
対抗が『天地明察
大穴が『ヘヴン』としたいと思います。

船に乗れ!〈1〉合奏と協奏船に乗れ!(2) 独奏船に乗れ! (3)私の好みとしては『天地明察』の方が好きなんですけど、やはり本を売る立場の書店員さんからすると『船に乗れ!』の全3巻というのは美味しいんじゃないかと。売上が3倍になる可能性がありますので。『一瞬の風になれ』と同じ原理ですね。(笑)

天地明察でも時代物・歴史物が好きな方って多いと思うので『天地明察』が大賞とるかもなぁ〜うーん、難しい。私はこの本の清々しさや胸が熱くなる読後感ってすっごく好きだったんですよねぇ。『船に乗れ!』は、反対に青春の痛さや苦さが全編通してありますので、そこらへんの読み心地で好みは分かれちゃうかもですねぇ。

ヘヴンそして、大穴に『ヘヴン』としました。下馬評では『ヘヴン』が大賞をとるんじゃないか?と言われているようですが…確かに良かったと思うんですけど、私はそこまですごいかなぁ?という感触だったんですよね。キノベスで1位とっちゃってるし、本屋大賞あげなくても…とも思っちゃうし。

さて、大賞発表は、4月20日(火)です。
どれが大賞をとるのでしょうか?o(〃・ω・〃)o"ワクワク

「本屋大賞ノミネート作のタイトル+文庫本」という検索ワードでいらっしゃる方が多いようですので、こちらの記事を紹介します。「文庫化のタイミング」ぜひご一読くださいませ〜

2010年本屋大賞関連記事
2010年 本屋大賞ノミネート作予想
2010年 本屋大賞ノミネート作決定
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本 本屋大賞関係記事 | comments(4) | trackbacks(0)

藤谷治 船に乗れ!3 合奏協奏曲

評価:
藤谷 治
ジャイブ
¥ 1,680
(2009-11-05)

最終学年になった津島、鮎川、伊藤らのアンサンブル。伊藤は津島に言った。「僕たちはこれからの方が大変だ。甘くない」。それぞれの心がぶつかり合い、再びふれ合った果てに訪れる、感涙の最終楽章――。(内容紹介より)

高校生の頃って自分の事だけで手いっぱいになっている所があるし、自分が経験した事に対しては考える事が出来るのだけど、それ以外となると想像力が及ばない部分が多分にあって、人の気持ちに気づくことが出来なかったり、相手を思いやる事が出来なかったりするんですよね。
南の事や金窪先生の事で心が折れそうになり、そして、将来プロの音楽家としてやっていけるのかどうかを考えれば考えるほどチェロに以前ほどのめり込めなくなってしまったサトルは、今後どういう道を歩んでいくのかが気になって一気読みでした。

1作目では、傲慢なサトルの事が好きになれなかったけれど巻を追うごとに鬱屈し、色々と抱え込み迷走しているサトルを他人事と思えなくなり、そしてクラシックに詳しくない読者を突き放すかのような(クラシックに疎い人にも分かりやすく書こうという意思が感じられないという点において)文章も、この3巻に関してはクラシックに疎い読者にも読みやすいように配慮した文章が非常に多く感じられて、前巻までで何度も感じた違和感(専門的な事が分かる人だけが分かれば良いという雰囲気を感じていました。)がなかったのも没頭して読めた要因の1つだと思いました。

あと1巻から読んでいて気になっていた事なのですが、三流の音楽高校ということだけど本当にレベルが低くてびっくりしています。(苦笑)本作に登場した曲の中には、私もアマチュアオケや高校のクラブ活動で演奏した事のある曲もあって、なんで私たちにだって出来ている事が音楽を専門に勉強している学生に出来ないのかな?という不思議な違和感は常につきまとっていました。(^^;ゞ

文化祭でのブランデンブルグ協奏曲5番の演奏シーンは不安と興奮とで、読みながら血管がドクドクと波打ち、体の中を電流が走ったかのようで圧倒されました。今まで気になる点をちょこちょこ言ってきましたけど本作は本当に凄くて演奏シーンを読み終えると疲れて虚脱感がありました。
ブランデンブルグ協奏曲の5番は私がクラシックにはまるきっかけになった曲で、小学生の時にラジオで流れていたこの曲をカセットに録音して、カセットがすりきれそうになるくらい何度も聞いてスコアを作って遊んでいた曲でしたし、ジュピターは私がオーケストラで初めて演奏した曲でしたし、ハフナーはセカンドトップを務めた曲で、本作には私の思い出深い曲ばかりが登場し、当時のことを思い出して読みながら熱くなってしまい、冷静に読めませんでした。まさに本から音楽が鳴り響いているようでした。

音楽って音を楽しむものだから、喜びと楽しさの中で演奏する事ができれば、それはとても素晴らしいことで、そして音楽って演奏している人だけのものではなくて、その場にいる聴衆を含めての芸術なんですよね。演奏会中の些細な事で場の空気が変わったり、いい方向へ転がっていく様子が、あるある!分かるな〜と実感を伴いながらの読書でした。

終盤でのあの人との邂逅で涙してしまい感情が大きくうねりましたが、ラストは穏やかな気持ちで読み終えることができました。私も訳あって今少し音楽から離れている身ですけど、離れなければならない時の苦痛と絶望感は相当なもので、受け入れるのにかなりの時間と屈折した思いも抱きました。きっとラストを読んで、もういい年をした大人の少し人生にくたびれた所もあるサトルからは、そういう鬱屈が薄れて上手下手関係なく楽しくまた音楽と向きあっていこうという姿勢が感じられたからこその穏やかな読後感なのだと思います。途中、激しく魂を揺さぶられるようなシーンもあったし、涙する所もありましたが、シリーズを読み通してきて落ち着くべき所に落ち着いたように感じ、読後非常に満足感に包まれています。

★★★★★(10点)

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本 感想(藤谷治) | comments(4) | trackbacks(0)

夏川草介 神様のカルテ

評価:
夏川 草介
小学館
¥ 1,260
(2009-08-27)

栗原一止は信州の小さな病院で働く、悲しむことが苦手な内科医である。ここでは常に医師が不足している。専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事なら、睡眠を三日取れないことも日常茶飯事だ。そんな栗原に、母校の医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば、休みも増え愛する妻と過ごす時間が増える。最先端の医療を学ぶこともできる。だが、大学病院や大病院に「手遅れ」と見放された患者たちと、精一杯向き合う医者がいてもいいのではないか。悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。第十回小学館文庫小説賞受賞作。(内容紹介より)
本屋大賞ノミネート作品。

地域医療のことを扱ったストーリーと聞いていたので、Dr.コトーや『きのうの神さま』(西川美和)のような話かと思いきや、過疎地域の話ではないのですね。ベッド数400床の信州の地方病院が舞台。過疎地域のような1人で村や島の人全てを見るというわけではないものの、医師不足は深刻で内科専門医でも救急医として様々な患者を見なくてはならない主人公の状況が描かれています。Dr.コトーと救命病棟24時にほんの少し白い巨塔が混ざっている感じでしょうか。

漱石を敬愛し、漱石の口調を真似てしゃべる主人公という事で、もしや古典っぽくて読みにくいのではないか?と危惧していたのですが、かなりライトな読み心地でさらさらと読めました。クスッと笑うほどではないのですが、随所におかしみが散りばめられていて、面白く読むことができますね。でも読み心地や面白みを優先してしまっているからか、物事の本質を書くことが置き去りにされてしまっていると感じました。

ストーリーは病院が舞台で主人公の仕事ぶりや職場の人、患者との交流が綴られるシーンと自宅のオンボロ御嶽荘に住んでいる人々との交流が綴られていくシーンとで進んでいきます。分量(頁数)が少ないので仕方ないとは思うのですが、医療ものとして読もうとしても、医局の功罪や医師不足の現状、終末医療やガン告知など広く浅く医療問題が書き連ねてありますが、突っ込んだ事は書かれていないですし、既に他の本で読んだりテレビで見聞きして知っている事ばかりでしたので、目新しさという点では欠けていたかなぁ。もっと深く突っ込んでいたり作者独自の目線や新しい切り口で書かれていると、読み手もおっ!と思えるのですが…プライベートである御嶽荘の住人たちとの交流も読み心地は良かったんですけど、病院での仕事がメインでもあるし、やはり分量(頁数)の少なさゆえどうしても印象は薄くなってしまうかなぁ。御嶽荘の住人たちはキャラも立っていて良かったと思うんですけどもね〜

口下手な主人公で変な言い回しばかり言っているけど、真摯な気持ちや誠意は相手にちゃんと伝わっていて。その他にも結構いい事は書かれてあると思うのだけど、心に響いてこないのが残念。いい読み心地を追求するあまり美談ばかりになっちゃっているからなのかな〜確かにうるっと涙ぐむシーンもあったのですが、全体を通して見るとインパクトが弱くて少し時間が経ったら忘れちゃいそうな話なんですよね。心にグッとくる深みがないんだよなぁ〜

医療ものとして読むには物足りなさを感じるし、人々との交流も美談にしすぎちゃっていて、私ははまれなかったかな〜飲みやすいカクテルのようにさらさらと飲める(読める)けど、酔えなくて後に何も残らない感じとでもいいましょうか。私は読後に何も残りませんでした。本書を楽しめる人は羨ましいなと思います。確かに読後感はいいんですけどもね〜。きっとこういう読み心地がよくていい話というのが世間で求められているのでしょうし、万人受けするんだろうな〜とは思うのですけどもね。(^^;ゞ

★★★☆(7点)

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本 感想(な行) | comments(0) | trackbacks(0)

2010 3月の読書予定

毎月恒例の読書予定です♪読みたいな〜と思っている本をあげてみました。
今月は塩野七生『ローマ人の物語5』シフトです。なんとかこの本を読みたいと思っています。このシリーズはとても好きなんですけど、情報量満載というか長時間読んでいると頭が飽和状態になって疲れてきちゃうので(苦笑)読んでいる合間に少し休憩出来るような軽い読み物や併読用の短編集を多めにチョイスしてみました。

恩田陸さんの『私の家では何も起こらない』はちょうど読み終わった所です。『船に乗れ!3 合奏協奏曲』は、先日読み終えて、これで本屋大賞候補全10作を読み終わりました。レビューがアップ出来次第、本屋大賞予想記事をアップしたいと思います。(^^ゞ
昨日ブログにアップしましたが、『鉄の骨』は吉川英治文学新人賞を受賞しましたね。おめでとうございます♪宮下奈都さんの『スコーレNo.4』は、本読み友達の間でも評判がいい本で前からずっと読みたかった本ですし、『密室殺人ゲーム王手飛車取り』は、『密室殺人ゲーム2.0』の前作。歌野さんは正直ちょっと文体が合わないかも?と思っている部分があるのですが、面白いらしいので読んでみたいです。

『本日のスープ』は「目ぢから」のある猫写真集。
そして、毎日新聞夕刊紙上で、月に一回掲載された日本一小さな新聞、その名も『毎月新聞』は、CMプランナーであのピタゴラスイッチの監修にも関わっている佐藤雅彦さんのコラム集で、とても面白そうです。わくわく♪

『リリス』は、励ましあって読書会の課題本。結構分厚くて手ごわそうなのですが、私の好みの雰囲気が漂っているので読むのが楽しみ〜♪『パパの電話を待ちながら』は、イタリア中を旅するセールスマンの父が娘に毎日夜9時にお話をする約束をしていて、そのお話(ショートショート)が収められた作品。可愛らしいお話なのかな〜?楽しみです。(^^)

私の家では何も起こらない (幽BOOKS)鉄の骨船に乗れ! (3)廃墟に乞う球体の蛇扉守(とびらもり)ローマ人の物語〈5〉― ユリウス・カエサル-ルビコン以後スコーレNo.4 (光文社文庫)逃亡くそたわけ (講談社文庫)密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)本日のスープ毎月新聞 (中公文庫)シートン(探偵)動物記 (光文社文庫)熊の場所 (講談社文庫)インディゴの夜 (創元推理文庫)青空の卵 (創元推理文庫)犬の力 上 (角川文庫)犬の力 下 (角川文庫)リリス (ちくま文庫)パパの電話を待ちながら星の王子さま (新潮文庫)

著者名・タイトルも書いてみます。

恩田陸『私の家では何も起こらない』★
池井戸潤『鉄の骨』★
藤谷治『船に乗れ!3』★
佐々木譲『廃墟に乞う』★
道尾秀介『球体の蛇』
光原百合『扉守』
塩野七生『ローマ人の物語5 ユリウス・カエサル ルビコン以後』★
宮下奈都『スコーレNO.4』
絲山秋子『逃亡くそたわけ』★
歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』
大久保ゆう子『本日のスープ』★
佐藤雅彦『毎月新聞』★
柳広司『シートン探偵動物記』
舞城王太郎『熊の場所』
加藤実秋『インディゴの夜』★
坂木司『青空の卵』★
ドン・ウィンズロウ『犬の力』上下巻★
ジョージ・マクドナルド『リリス』★
ジャンイ・ロダーリ『パパの電話を待ちながら』★
サン=テグジュペリ『星の王子さま』★

特に優先的に読みたいと思っている本に★マークをつけてみました。
新刊本は予約順番の関係で今月中に回ってきそうな回ってこなさそうな?・・・という曖昧なものはチェックを外しています。
みなさまの読書・本選びの参考になれば幸いです。(^^)

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吉川英治文学賞 吉川英治文学新人賞 日本推理作家協会賞候補作決定

第44回 吉川英治文学賞は、

重松清『十字架』(講談社)

第31回 吉川英治文学新人賞は、

池井戸潤『鉄の骨』(講談社)
冲方丁『天地明察』(角川書店)

http://www.kodansha.co.jp/award/yoshikawa.html

十字架 (100周年書き下ろし)鉄の骨天地明察 

受賞おめでとうございます!
twitter情報によりますと、他に道尾秀介さん、辻村深月さん、平山夢明さんが候補にあがっていたようですね〜(^^ゞ
天地明察』はつい先日読みましたが、本当に素晴らしかったです!

それから、日本推理作家協会賞候補作決定しました。

長編及び連作短編集部門候補作〉
飴村行 『粘膜蜥蜴』
佐藤正午 『身の上話』
貫井徳郎 『乱反射』
湊かなえ 『贖罪
米澤穂信  『追想五断章

粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)身の上話乱反射贖罪 (ミステリ・フロンティア)追想五断章 

〈短編部門候補作〉
安東能明 『随監』    小説新潮5月号
伊岡瞬 『ミスファイア』 野性時代11月号
石持浅海 『ドロッピング・ゲーム』 不可能犯罪コレクション 原書房
永瀬隼介 『師匠』    完黙 実業之日本社
結城充考 『雨が降る頃』  小説宝石6月号

〈評論その他の部門候補作〉
小森健太朗 『英文学の地下水脈 古典ミステリ研究〜黒岩涙香翻案原典からクイーンまで』
谷口基 『戦前戦後異端文学論―奇想と反骨―』
長山靖生 『日本SF精神史』
東雅夫  『怪談文芸ハンドブック』

英文学の地下水脈―古典ミステリ研究 黒岩涙香翻案原典からクイーンまで戦前戦後異端文学論―奇想と反骨― (新典社研究叢書)日本SF精神史----幕末・明治から戦後まで (河出ブックス)怪談文芸ハンドブック (幽BOOKS) 

感想をアップしている『天地明察』『贖罪』『追想五断章』へはレビュー記事にリンクさせてあります。

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冲方丁 天地明察

評価:
冲方 丁
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,890
(2009-12-01)

江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯を賭けた男がいた。ミッションは「日本独自の暦」を作ること―。碁打ちにして数学者・渋川春海の二十年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋!早くも読書界沸騰!俊英にして鬼才がおくる新潮流歴史ロマン。(「BOOK」データベースより)

私は高校の時に日本史を選択しなかった事もあって、非常に日本の歴史に疎い人です。だから時代小説・歴史小説は鬼門なのですが、本屋大賞ノミネート作ということで思い切って読んでみました。
私は人情物のただ心が温かくなれる本って更に他の何かを求めてしまうので、物足りなさを感じてしまうし、本書の帯にも書かれてありますが別に合戦や剣客が読みたいわけでもないので、時代物ってあんまり魅力を感じない人なのですが、本書はそんな偏屈な私でも素直に良かった!と思えた本でした。冲方さんってSFを書かれる方というイメージだったので、最初は時代小説!?と驚いたのですが、その分読みやすかったのだろうと思います。ただ最初はやはり苦手ジャンルということで私は読みにくさを感じてしまいましたが。(^^;ゞ 最初は主人公のぼんやりしたような覇気がないようにも感じられるキャラクターに魅力を感じなかったのですが、2章の終りにある事件が起こって人間味を色濃く感じられるようになってからは、一気に好印象に。そして、どんどん面白くなっていき読むスピードも加速していきました。

囲碁や算術、星、暦などの専門分野に造詣の深い登場人物達ですが、読む分にはなんの知識がなくても大丈夫。小難しい内容は全く出てきません。むしろ算術とかに詳しい人だともっと突っ込んだ話が読みたいと思ってしまうのかもしれませんが、私のように算術について何も知らないけれど興味はあるという人には、本書はいい取っ掛かりになると思いました。テーマは専門分野ですが、本書はむしろひたむきな人の想い、一つの物事に取り組む情熱の熱さ、そういうものをぐっと読ませるストーリーです。

数学って若い内にそれなりのある程度の成果を出さないと認められない学問らしいですね。他の学問は、年月の積み重ねと共に経験や知識量が増えますが、数学もそうなんだけどよりひらめきや頭の柔らかさが重要なのかも。なので、春海がどんな問題も歌を詠むかのようにさらさらと答えを記す天才 関孝和と同い年と知って焦る気持ちは分かるな〜

暦を変えるって現代人の感覚だと時計の針を直す程度の軽いものかと思っていたのですが、宗教・政治・経済・文化にまで影響を及ぼすものなのですね。北極星を観測する為に編制された観測隊の隊長・副長である建部と伊藤の天を測り無邪気に子供のように喜びはしゃぐ様子が、読んでいて本当に気持ちがいいのです。本書は、登場人物達が性格は違えど皆気持ちのいい人ばかりで更に読み心地のいいものにしていると思いました。

「頼みましたよ。」「頼まれました。」という春海と改暦に関わる人達のやりとりが、なんていいのでしょう。人の想いが長い年月をかけて結実する所に胸が熱くなりました。長い目で人を育てる、世の仕組みを変える、昔の人の気の長さ、器の大きさに驚くばかりです。天意という名の設問を解く旅。なんと広大でスケールの大きく途方もないことか。そして、明察という言葉のなんたる響きの良さ!清々しく晴れやかな気持ちになります。

内に秘めたる情熱は熱いのに表は礼儀正しく控えめで静かで熱い。そして、人の繋がりの確かさと引き継がれる想いに胸を熱くして読み終えました。

★★★★★(10点)

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